News Detail
お知らせ詳細
2023.07.20
院長ブログ
認知症のなりやすさを決めるのは遺伝子?生活習慣?
みなさん、こんにちは。まにわクリニック院長の馬庭です。
日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳となっています。
一方介助を必要としない生活ができる健康寿命とは、約10年のひらきがあります。
つまり、死ぬまでの10年近く、なんらかの介護を受けながら生きていくことになります。
その中で問題になってくるのが認知症です。
近年は遺伝子検査で認知症になりやすいかどうかを判定することができます。
遺伝子検査の結果なりやすい遺伝をもっていたら、あきらめるしかないのでしょうか。
今回は、認知症になりやすい決め手は遺伝子なのかどうかについて解説します。
1. そもそも認知症とは
認知症は、脳の機能が徐々に低下していく病気の総称です。
記憶力、思考力、判断力、言語能力などが障害されていきます。
認知症の形態にはいくつか存在し、
アルツハイマー病
レビー小体型認知症
脳血管性認知症
前頭側頭葉変性症
などがあります。アルツハイマー病は最も一般的な認知症の原因であり、認知症の約60〜80%を占めています。
認知症の症状は、以下のような点で特徴付けられます:
抽象思考の低下とは
様々なものや出来事の中にある共通した部分に注目して抜き出すことが難しくなることです。
例えば「車」「飛行機」には「乗り物」という共通がありますが、この「乗り物」という考えが浮かびにくくなります。
2. 認知症になりやすい遺伝子とは?
認知症の原因は多岐にわたり、遺伝的要因、環境要因、生活習慣、脳の損傷などが関与することが知られています。
認知症の発症リスクをあげる代表的な遺伝子には
「APOE遺伝子」
「MTHFR遺伝子」
があります。
APOE遺伝子にはいくつかのタイプが存在し、ε(イプシロン)4を全く持たない人に比べて、ε4を1つもしくは2つもっている人で、アルツハイマー型認知症のリスクが3~12倍高くなると言われています。
MTHFR遺伝子は体内の葉酸回路で使用される酵素をコードしている遺伝子です。
これに変異があると葉酸、ビタミンB12、ホモシステインの濃度に異常が生じ、認知症の発症リスクを高めることが報告されています。
3. 中国で行われた調査の結果
2023年にアメリカ内科学会の姉妹雑誌に報告された中国の興味深い研究があります(JAMA Netw Open 2023;6:e2324031)。
4665人の60歳以上の男女を3年にわたり追跡し、遺伝的背景と生活様式で認知症の発症頻度を比べた研究です。
発表されたデータによると、やはりAPOE遺伝子やMTHFR遺伝子に異常がある人の方が認知症の発症が高くなっています。
しかし、遺伝子に異常がなくても、生活習慣が悪いと遺伝子異常と同等もしくはそれ以上に認知症のリスクがあがることがわかりました。
4. 私なりの考え
上記のように、もちろん遺伝子に異常があれば認知症になりやすいのは間違いないでしょう。
でも、それと同じくらい健康的な生活を行うことが重要であり、それを疎かにしていると、たとえ遺伝子に異常がなくても認知症にはなってしまいます。
遺伝子を変えることはできませんが、生活スタイルを変えることはいくらでもできます。
なるべく精製されていない穀物はとっていますか?
お魚は毎日食べていますか?
卵などの良質なタンパク質はとっていますか?
運動はしていますか?
しっかりと睡眠はとれていますか?
答えに「NO」が多い方は要注意です。
認知症は高齢になってから起こるのではありません。30代から始まっています。
健康寿命をのばし、活き活きとした生活を送るために、今からできることをやっていきましょう。
いかがでしたでしょうか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
まにわクリニックでは、栄養外来、サプリメント外来、点滴療法外来などにて栄養のアドバイスやサポートを行っています。無料の相談もしていますので、お気軽にご相談ください。