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2023.06.19

院長ブログ

脂質異常症とは

みなさんもよく、「コレステロールが高い」「中性脂肪が異常です」
と聞いたり、実際に医師に言われたりすると思います。
「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」というワードも聞いたことあるのではないでしょうか?
でも、なぜ「悪玉」と呼ばれるのかご存知でしょうか?

今回は、よく悪者扱いされるコレステロール、中性脂肪について解説します

1. 脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に高くなっている状態や、細胞で余った脂質を回収するHDLコレステロール(善玉コレステロール)が異常に低くなった状態を指します。

正常な脂質レベルは、心血管の健康維持や他の体の機能に重要な役割を果たしていますが、異常な高い脂質レベルは動脈硬化や心血管疾患のリスクを増加させることがあります。

中には黄色腫と言って目尻などに黄色いできものができる方もいますが、多くの場合、脂質異常症は症状を認めません。ただし、放っておくと血管の壁に脂質が溜まっていき、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を招くおそれがあります。
検査は空腹時の血液検査で行います。診断基準としては以下のようになっています。

 

LDLコレステロール 140mg/dl以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dl 境界型高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40mg/dl未満 低HDLコレステロール血症
中性脂肪

(トリグリセライド)

150mg/dl以上(空腹時) 高トリグリセライド血症
175mg/dl以上(随時)
Non-HDLコレステロール 170mg/dl以上 高Non-HDLコレステロール血症
150~169mg/dl 境界型高Non-HDLコレステロール血症

2. コレステロールのお仕事

カラダの中にある脂質には、コレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、リン脂質、の4種類があります。

コレステロールは人の細胞膜や、消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンのもととなる重要な物質です。
よく「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールは細胞にとって必要なコレステロールを運ぶトラック、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールは細胞であまったコレステロールを回収するトラックの役割を果たしています。

中性脂肪は、エネルギーとして貯蔵したり、保温、外部からの衝撃を和らげたり、内臓を固定したりして、体内で重要な役割を果たしています。

遊離脂肪酸は脂肪組織から血液に放出されてエネルギーとして活用される脂肪分を指します。体を動かすエネルギーとして利用されないときには、ブドウ糖と合わさった形である中性脂肪として脂肪組織に溜められています。

リン脂質は細胞膜の主要な構成要素として存在し、細胞の内と外の環境を分ける物理的な障壁となります。

このように、よく悪者にされるコレステロールや中性脂肪は、本来カラダにとっては非常に重要な役割を担っているのです。

3. 超悪玉スモールデンスLDLコレステロール(sLDL-C)

なかなか聞き慣れない言葉がでてきました。sLDLコレステロールとは、LDLコレステロールのなかでも、サイズが小さく、酸化して(さびて)動脈硬化を起こしやすいことが報告されています。LDLコレステロールが高すぎるとさまざまな病気にかかりやすいことは以前から報告されていますが、近年ではsLDLコレステロールはさらに悪性度が高いことが多数報告されており、「超悪玉」といえます。
sLDLコレステロールはインスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きにくい状態)で産生されやすくなることが報告されており、糖質の摂りすぎがよくないのではないかと考えられます。

4. 中性脂肪が高い原因はあぶらのとりすぎ?

中性脂肪が高くなる原因は、脂質異常症含め生活習慣が主であり、過食、糖質過多、運動不足などによって起こってきます。中には遺伝的にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高くなる病気を有している方もおられますが、多くは生活習慣が原因です。

中性脂肪やLDLコレステロールが高い方を診察したとき、「あぶらを控えたらよいのですか?」と質問を受けます。
「お肉のとりすぎはよくない」「卵のとりすぎはだめ」と言われますが本当でしょうか?
確かに摂りすぎは良くないと思います。でも卵の摂りすぎでコレステロールが病的に上昇するのでしょうか。

問題は摂取するあぶらのバランスにあると考えています。

動物のお肉に多く含まれるのが飽和脂肪酸であり、食べ過ぎは動脈硬化や心血管疾患のリスクを高めることが報告されています。

一方オリーブやアボガドに多く含まれるのが一価不飽和脂肪酸です。こちらは心臓や血管にとって良いことが報告されています。

また、多くの方は多価不飽和脂肪酸という言葉も聞かれたことがあるのではないかと思います。
大まかに分類すると、魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸と、大豆油やひまわり油に多く含まれているオメガ6脂肪酸があります。いずれも体内では作ることができない脂肪酸(必須脂肪酸)であり、バランスよく摂取する必要があります(近年はオメガ6脂肪酸の摂取量が多すぎるため、カラダに炎症を起こさせたりする点が目立っています)。

近年問題になっているのが、トランス脂肪酸と呼ばれる人工的な脂肪酸です。マーガリン、ファーストフード、ショートニングなど、加工食品などで使用されています。
トランス脂肪酸の摂りすぎは、心血管疾患、動脈硬化、糖尿病、肥満、炎症性疾患などのリスクを増加させることが知られています。トランス脂肪酸は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減少させる作用があります。このような理由から一部の国ではトランス脂肪酸の使用を制限する法律や規制が存在しています。

中性脂肪が上昇する多くの原因は糖質の摂りすぎやアルコールです。糖質のとりすぎで血糖値が上昇すると、不要な糖分は中性脂肪に変換されます。また、アルコールは肝臓での中性脂肪の合成を高めることがわかっています。

病院や健診でコレステロール・中性脂肪の異常を指摘された場合、単にあぶらの摂取を制限するのではなく、バランスのよい脂質の摂取や、糖質やアルコールを摂りすぎないことが重要となります。

5. コレステロールを下げる治療

動脈硬化のある患者様やすでに血管の病気(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)をお持ちの方、コレステロールが非常に高い方に対してはお薬を使用してLDLコレステロールを下げる治療を行います。

使用される薬でもっとも多いのが「スタチン」と呼ばれるお薬です。
このお薬の登場によって多くの血管疾患の発症が抑えられたことが、数多くの研究でわかっています。ちなみにスタチンを発見したのは日本の遠藤 章先生です。
大変素晴らしい功績であり、今では世界中でスタチンが使用されています。

6. 薬でコレステロールを下げる弊害

先に述べた通り、スタチンは大変有効なお薬です。

では、この薬を飲めばすべてが解決するのでしょうか?

答えは「NO」です。

残念ながら、お薬を飲んでも病気になる人はまだ数多く存在しています。いくら薬をのんでも、病気の根本原因(食生活、運動不足、アルコールなど)を解決しなければいずれは病気になってしまいます。

また、スタチンでコレステロールの低下させるとき、コエンザイムQ10も同時に合成が低下してしまいます。
コエンザイムQ10はミトコンドリアが細胞のなかでエネルギーを作るときになくてはならない栄養素です。
さらに、先にも述べたようにコレステロールは細胞膜やホルモンなどカラダのさまざまな箇所で必要な栄養素です。栄養素であるコレステロールが下がりすぎてしまうと、細胞がうまくつくれない、ホルモンがしっかりと作れないなどの弊害が生じ、「元気がでない」「ストレスに弱くなった」「頭がうまく回らない」などの症状を起こす場合があります。

何事もメリットとデメリットがあることを知っておくことが重要ですね。

もし、スタチンを内服してから体調が優れない場合は、サプリメントでコエンザイムQ10を補うことをおすすめします。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。脂質のことが心配、実際にコレステロールや中性脂肪が高いなどの指摘された方は一度まにわクリニックまでご相談ください。

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