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2023.06.20

院長ブログ

高血圧について

よく耳にする高血圧症。

私の家系も血圧の高い親族が多いですし、実際私自身も結婚するまでは、よく健診で引っかかっていました。

今回は高血圧とはなんぞや?どんなことが問題になるのか?などを解説します。

1 高血圧とは

食生活の乱れ、運動不足、慢性的なストレスなどの生活習慣の乱れや、ホルモン異常により血圧が上昇した状態を指します。診察室でのくり返しの測定で最高血圧が140mmHg以上(家庭血圧では135mmHg以上)、あるいは、最低血圧が90mmHg以上(家庭血圧では85mmHg以上)であれば、高血圧と診断されます。

2 日本人における高血圧の実態とは

日本の高血圧有病者数は4,300万人と推定されています。そのうち治療によって良好な血圧がコントロールが得られているのはわずか30%と言われています。つまり、3,100万人の患者様は管理が十分にできていないということです。非常に多いですよね・・・
管理が不十分な患者様の3割の方が「自らの高血圧を認識していない」。29%の方が「認識しているが治療を受けていない」と推定されています。
(高血圧治療ガイドライン2019より)

3 血圧は心臓疾患・脳血管疾患と関連する!

心臓疾患は死亡原因の第2位、脳血管疾患は第4位であり、高血圧はその疾患原因の1つであることが知られています。
降圧薬の使用歴がない30歳以上の日本人男女8,952人の24年間に及ぶ追跡調査によると、血圧が高いほど循環器疾患、脳血管疾患、冠動脈疾患による死亡リスクが高くなることが報告されています。

高血圧リスク
Takashima N, et al. J Hypertens 2012

しかも、この関係は高齢者よりも中年の方において顕著であると報告されています。

高血圧リスク
Okayama A, et al. J Hypertens 2006

循環器疾患死亡の61%、脳卒中死亡の66%、冠動脈疾患死亡の52%が高血圧を有していたと報告されています(NIPPON DATA80より)

4 目標の血圧

降圧目標は、年齢や合併症によって異なります。
家庭血圧の降圧目標値をみると、若年、中年、前期高齢者(75歳未満)では125/75mmHg未満となります。一方後期高齢者(75歳以上)では、それより高い135/85mmHg未満を目安としています。高齢になるほど色々な臓器の障害を伴うことが多く、血圧の下がりすぎが臓器の機能に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重な対応が求められます。
糖尿病や尿蛋白のある慢性腎臓病、脳血管疾患や冠動脈疾患を有する方の場合、心筋梗塞や脳卒中の発症や再発するリスクが高いため、より厳格な目標値が設定されています。

高血圧リスク
高血圧治療ガイドライン2019より作成

5 高血圧対策の食事とは

どれか1つの食材や栄養素で対応するのではなく、食事内容を改善することが、血圧降下作用をもたらすと考えられます。

具体的には、野菜や果物など食物繊維やカリウムが豊富な食材、飽和脂肪酸やコレステロールが少ない食材、減塩などを組み合わせたDASH(Dietary Approach to Stop Hypertension)-sodium食が推奨されています。減塩は1日6g以下が推奨されています。ちなみに厚生労働省から2019年に発表された国民健康栄養調査によると、日本人の1日食塩摂取量は10年間で減少傾向にはありますが、それでも男性10.9g、女性9.3gとなっており、まだまだ塩分過剰な状況が続いています。

「減塩すると、味が薄く美味しくない」とのご意見をよく伺います。そんな場合は、お出汁のうま味、食材の風味を活用することが有効です。カツオだしに含まれるアミノ酸には降圧効果が期待できますし、レモンやすだちの酸味、カレー粉などの香辛料、しそ・ねぎ・しょうが・ニンニクなどの薬味を使用することで素材を引き立てて美味しく味わうことができます。

発酵調味料である味噌には、抗酸化作用のある「メラノイジン」や降圧効果のある「イソフラボン」、腎食塩排泄促進因子や血管拡張因子など複数の活性因子が含まれています。塩分含有量は気になるところですが、お味噌汁1杯分に含まれる食塩は1g程度であり、上手に使うことで血圧降下作用が得られると考えられます。

醤油にも血圧を下げる効果が期待できるアミノ酸が含まれています。

減塩を意識しながら、伝統的な日本食を普段の食生活に取り入れることで、理想的な食事内容になるのではないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。血圧のことが心配、実際に血圧が高いけど治療していないなどあれば一度ご相談ください。

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