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2023.06.26
院長ブログ
短鎖脂肪酸ってなに?
みなさん、こんにちは。まにわクリニック院長の馬庭です。
ところで、「短鎖脂肪酸」って聞いたことありませんか?
最近の健康ブームでお聞きになったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、短鎖脂肪酸について解説します。
1. そもそも脂質とは
脂肪(脂質)は、3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の1つで、エネルギーを作るための栄養素です。
脂肪1gあたりで9kcalあります(ちなみに糖質は1gあたり4kcalです)。
食品中や体脂肪の大部分を占めるのは中性脂肪であり、中性脂肪はヒトや動物にとって重要なエネルギー源となっています。
安静時(運動などをしていないとき)のエネルギー源の7割が中性脂肪といわれています。
そんなエネルギー源として重要な脂肪ですが、過剰な蓄積は生活習慣病を引き起こす原因となります。
体脂肪1kgあたり約7000kcalに相当すると言われており、体脂肪を1kg落とすには毎日約230kcalのエネルギーを消費する必要があります。
2. 脂肪酸の種類
体脂肪の大部分をしめる中性脂肪は、グリセロールに3つの脂肪酸がくっついて構成されています。
ここで登場してきた脂肪酸は3つのタイプに分類されています。
それが
● 短鎖脂肪酸
● 中鎖脂肪酸
● 長鎖脂肪酸
これは炭素原子がいくつくっついているかで分けられています。
短鎖脂肪酸は6個未満、中鎖脂肪酸は約6~12個、長鎖脂肪酸は約14~24個の炭素が結合しています。
3. 短鎖脂肪酸はどうやって作られる?
中鎖脂肪酸はMCT(Medium Chain Triglycelide)ともよばれ、ココナッツオイルに多く含まれています。
長鎖脂肪酸はサラダ油やバター、ごま油などに含まれています。
では短鎖脂肪酸はどのようにしてわたしたちの体内に入ってくるのでしょうか。
答えはわたしたちの腸の中、腸内細菌が作ってくれています。
腸内細菌によって酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が産生され、わたしたちのカラダにとって有益な働きをしてくれています。
4. 短鎖脂肪酸の役割
そんな腸内細菌が作ってくれている短鎖脂肪酸にはどのような働きがあるのでしょうか。
主には
● 腸内のpHを低下させ、悪玉菌を減少させ、善玉菌が働きやすい環境をつくる
● 腸の蠕動運動を高め、便秘を解消する
● 腸粘膜のエネルギー源となり、腸粘膜のバリア機能を維持する
● ミネラルの吸収を促進する
などの働きがあります。
わたしたちの腸の中には100~1000兆個の細菌が存在していると言われており、多種多様な菌が存在することでバランスを維持しています。
このような腸内細菌の様子は「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内フローラのバランスが崩れてしまうと、便秘や下痢、肌荒れ、アレルギー、メンタル異常などの問題を引き起こしてしまう可能性があります。
そのような腸内環境を良好に保つためにも善玉菌にしっかりと短鎖脂肪酸をつくってもらう必要があります。
5. 短鎖脂肪酸を増やすためには
短鎖脂肪酸を増やすためには、善玉菌にしっかりと働いてもらわなければなりません。そのためには善玉菌のエサとなる食材(食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクス)を摂取する必要があります。
もしくは、短鎖脂肪酸を作ってくれる善玉菌をプロバイオティクスとして摂取する方法もあります。
医薬品やサプリメントなど、多数の商品が販売されています。もちろん服用をやめてしまうと、効果は消えていってしまいますが、腸の環境を改善させる手段として有効と考えられます。
逆に、短鎖脂肪酸が減ると、どうなるのでしょうか。
近年の報告では、短鎖脂肪酸の1つであるプロピオン酸が減少していると、血糖を下げるホルモンのインスリンが低下し、糖尿病の方の血糖異常を悪化させることが報告されています。
食事やサプリメントなどを使用して、しっかりと腸内環境を改善させたいものですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。血糖のことが心配、実際に血糖が高いけど治療していないなどあれば一度ご相談ください。