News Detail
お知らせ詳細
2023.06.27
院長ブログ
熱中症にならないためにすること
みなさん、こんにちは。まにわクリニック院長の馬庭です。
最近は暑くなってきましたね。梅雨も重なりジメジメして辛いシーズンですよね。
そんな時期にから増えてくるのが「熱中症」です。
熱中症は夏のイメージがありますが、実は梅雨の時期から徐々に増えていきます。
今回は、熱中症にならないための対策について解説します。
1. 熱中症のメカニズム
はじめに、熱中症になぜなるのかを説明します。
普段わたしたちのカラダは、皮膚や呼吸によって体内にたまった熱を外に逃がしています(熱放散)。外気温が上昇する時期は熱放散が小さくなり、代わりに汗の蒸発による気化熱で体温を下げる働きが中心になります。
しかし、汗をかくと水分や塩分が体外にでてしまうため、カラダに循環する血液量が少なくなってしまいます。血液量が減ることで血液の循環が悪くなり、汗をかく量が減ったり、熱放散が低下してしまい、体内に熱がこもって熱中症になってしまいます。
なので、血液の循環を維持するためには、しっかりと血液量を維持(血管内に水分を保持)することが重要になってきます。
2. 熱中症対策1~血管に水分を保持させる~
では、血管に水分を保持させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
まず重要なのは、しっかりと水分を補給することです。体重や生活様式にもよりますが、1日に最低1.5~2Lの水分補給(ペットボトル3~4本)を目指して下さい。当然汗を沢山かいたときは、もっと水分が必要です。
血管に水分を保持するために必要な物質が「アルブミン」と呼ばれるタンパク質です。アルブミンは約600個のアミノ酸からできた小さなタンパク質であり、血液に存在するタンパク質の60%を占めています。
アルブミンがスポンジのように水分を引き付けるお陰で、血管内に水分を保持することができます。
逆にアルブミンの量が少ないと血管内に水分を保持できず、むくみの原因になることもあります。
アルブミンを増やすには、タンパク質の代謝をあげることが重要です。タンパク質をしっかりと摂取して、アルブミンの材料を増やしましょう。
1日に摂取するタンパク質の目安は体重あたり1.2g(体重が50kgの人なら60g)です。
豆類、各種肉類、魚、豆腐などに多く含まれています。
3. 熱中症対策2~エネルギーの補充
気温が上昇すると、代謝もあがり運動をしていなくてもエネルギーが消耗していきます。
エネルギー不足は夏バテもしやすくなり、熱中症にもなりやすくなってしまいます。
夏バテ、熱中症予防のためにも炭水化物、タンパク質、脂質など、三大栄養素の補給を心がけましょう。
ただし、近年は炭水化物(糖質)が多く、タンパク質の摂取が少ない傾向にあります。麺やお菓子、精製食品の摂りすぎに注意し、お米や根菜、魚、卵、肉類などをバランスよく摂取するように心がけましょう。
4. 熱中症対策3~ビタミンB1の補給~
糖質がエネルギーに変換される際に必要な栄養素があります。それがビタミンB1を中心とするビタミンB群です。
B1を中心とするビタミンB群は、糖質がエネルギーに転換される過程で使用される酵素の補酵素として働いています。
なので、いくら糖質をとってもビタミンB群が不足していると、エネルギーに変換することができなくなってしまいます。
ビタミンB1は豚肉、大豆、玄米、うなぎなどに豊富に含まれています。
5. 熱中症対策4~ビタミンCで抗酸化~
ビタミンCが不足すると、疲れ、だるさ、食欲の低下などの原因になります。
これは副腎と呼ばれる臓器から分泌される「コルチゾール」と呼ばれるホルモンが低下してくるために起こってくるとされています。
コルチゾールが作られるためにはビタミンCが必要です。
また、ビタミンCにはカラダをさびさせる原因になる活性酸素を抑える働きがあります。
活性酸素が増えることで、酸化ストレス(カラダをさびさせる)が増え、カラダに炎症を引き起こします。今、炎症はカラダを老化させる因子として大変注目されています。
酸化ストレスはコラーゲンの劣化、メラニンの産生を増やすなどの作用があるため、お肌のトラブルにもつながります。
ビタミンCをたくさん補給して酸化ストレスを抑えることが重要です。
ビタミンC以外にもビタミンA、Eにも酸化ストレスを抑える効果が期待できます。
ビタミンCやAなどを多く含む食べ物としては、ピーマン、パプリカ、ミニトマト、ゴーヤ、オクラ、モロヘイヤ、じゃがいも、キウイ、レモンなどがあります。
ただし、本当に必要なビタミンCを食事のみで摂取するのは至難の業であり、サプリメントの併用もおすすめです。
6. 熱中症対策5~クエン酸でミトコンドリアを元気に~
わたしたちのカラダの中でエネルギーを効率よく産生してくれる組織「ミトコンドリア」。
このミトコンドリア内に存在する「TCAサイクル」では、さまざまなアミノ酸、ビタミン、ミネラルを使ってエネルギーをつくっています。
クエン酸を継続的に摂取することで、日常生活や運動後の疲労感を軽減することが報告されています。
また、クエン酸を一緒に摂取することで、カルシウム、マグネシウム、鉄などの吸収されにくいミネラルとくっつき、吸収しやすくしてくれます。
さらに、胃腸の運動を活発にして、食欲増進にもつながります。
クエン酸は梅干し、レモン、ゆず、オレンジなどに豊富に含まれています。
7. 注意が必要なスポーツ飲料水
ここで一つ注意があります。
夏場などに水分補給としてスポーツ飲料水を飲まれる方も多いと思います。
たしかに水分を補給するという意味合いでは良いかもしれません。
しかし、ミネラルの補給として考える場合、残念ながらスポーツ飲料水には十分なミネラルが入っているとは言い難いと考えています。
スポーツ飲料水には糖質が多く含まれているため、糖質の代謝にビタミンB群が消耗してしまい、逆にビタミン不足になる可能性があります。
また、頻回にスポーツ飲料水を飲んでいると、血糖が急上昇し、糖尿病を発症してしまう方も存在しています。
もし、ミネラルの補給も考えるのであれば、スポーツ飲料水よりも味噌汁などを上手に使用したほうが効果的です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
食事やサプリメントなどを使用して、しっかりと熱中症対策したいものですね。熱中症のことが心配、実際に熱中症かもなどあれば一度ご相談ください。