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2023.10.19
院長ブログ
足のむくみがあなたの豊かな生活をうばう!!
みなさん、こんにちは。
まにわクリニック院長の馬庭です。
老若男女に関わらず、むくみを自覚される方は多いのではないでしょうか?
手で押すとへこむ、靴下の跡が残っているなどで、むくみに気づかれる方が多いように思います。
さまざまな原因でむくみは出現しますが、放っておくとあなたの生活の質(QOL)を著しく損なう結果になることもあります。
今回は足のむくみについて解説します。
1. 足のむくみに気づくきっかけとは
足のむくみに気づくきっかけにはどのようなものがあるでしょうか。
いくつか代表的な例をお示しします。
1) 見た目
足やくるぶし、ふくらはぎ、太ももなどを観察したときに左右差を認めたり、鏡で見たときに以前と比べて腫れているように感じる
2) 触って気づく
足の甲やすねを触ったり押したりすると、へこんだりする
3) 靴下の跡
ソックツや靴下を長時間履いたあとで、足首やふくらはぎに跡が残る
4) 時間の経過
朝起きたときの状態と、夜間の足の状態が異なる、朝にはなかったむくみが夕方から夜に目立つ
5) 痛みや不快感
足のむくみが原因で、足の重たさや不快感、痛みを自覚する
いかがでしょうか。何か当てはまるものはありましたでしょうか。
2. むくみの原因
では、むくみの原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
多くは、長時間の立ち仕事、座りっぱなしの生活、運動不足、食事の偏り、ホルモンの変化などが挙げられます。
一般的には経過観察で良いものもありますが、中には注意が必要な疾患が隠れていることがあります。
代表的な疾患が、
心臓病
腎臓病
肝臓病
甲状腺疾患
静脈疾患
などです。
心臓、腎臓、肝臓、甲状腺などは放っておくと命に関わることもある危険な疾患です。
静脈疾患の場合、深部血栓塞栓症(別名エコノミークラス症候群)と呼ばれる病気に関しては、突然死なども起こす危険な病気です。
一方下肢静脈瘤に関しては、良性疾患であり、直ちに寿命に直結することがない疾患です。
ただし、次の述べるように生活の質を大きく低下させてしまうことがあります。
3. 下肢静脈瘤が生活の豊かさを奪ってしまう
下肢静脈瘤とは、足の静脈(心臓に返っていく血管)に生じた病気です。静脈がコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。
足の静脈は、重力に逆らって心臓に血液が返っていく必要があります。
なので、血液が逆流しないように各所に逆流防止弁が存在しています。
しかしなんらかの原因で逆流防止弁が壊れてしまい、血液が逆流するようになると、血管が瘤のように膨らんでいきます。
このようにして下肢静脈瘤が発生していきます。
40代以降の方の10人に1人、出産経験のある女性の2人に1人が静脈瘤を有していると推測されています。
下肢静脈瘤は一度起こると治ることはありません。なので歳を重ねるごとに徐々の悪化し、
足のむくみ
足のだるさ、痛み
こむら返り
足の熱感やほてり
むずむず
などの症状を認めるようになります。
その後さらに進行すると、
皮膚の色調変化
足潰瘍
などを引き起こします。
潰瘍を形成してしまうとなかなか傷口は治らず、長期間にわたり痛みを伴うことになります。
また、足がむくむことによって血流やリンパの流れが制限され、靴ずれが治りにくかったり、蜂窩織炎を来してしまうことがあります。
さまざまな症状によって生活が制限され、あなたの豊かな生活が奪われてしまうのです。
4. 下肢静脈瘤は遺伝と環境
下肢静脈瘤は加齢とともに頻度が増加してくる疾患です。もちろん遺伝的な要因もありますが、生活環境にも大きく左右されます。
ここで島根県で行われている疫学調査(Shimane CoHRE Study)とスウェーデンの養子研究をご紹介します。
島根県で行われた研究では、山間地域に居住する高齢者(平均年齢70歳)における下肢静脈瘤の有病率が調査されています。
結果、男性14%、女性で22.7%に下肢静脈瘤を認めていたそうです。
下肢静脈瘤を有していない方と比較すると、
加齢
立ち仕事
肥満
飲酒
喫煙
が下肢静脈瘤発症のリスクになっていました。
また、スウェーデンで行われた養子データベースを用いた研究結果(Kohno K, et al. J Am Coll Surg 2016;223:452-60.)によると、実父母に下肢静脈瘤があると、その子供の下肢静脈瘤発症のリスクが2.21倍に増加し、そこに下肢静脈瘤を起こしやすい生活環境があると、下肢静脈瘤の発症リスクが4.58倍に増えることが報告されています。
5. まとめ
むくみには様子をみても大丈夫なものから、寿命にかかわるものまで様々な原因があります。
自分で判断せずに専門外来でしっかりと診てもらうのがよいでしょう。
まにわクリニックでは、心臓疾患、甲状腺疾患をはじめ様々な疾患に対して専門医として対応しております。
下肢静脈瘤に関しては、循環器専門医、脈管専門医、下肢静脈瘤実施医として、診断から無痛日帰り治療まで行っております。
症状が気になる、治療したい方など、お気軽にご連絡ください。