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2024.10.06

院長ブログ

眠りの質が寿命を左右する!?

睡眠はカラダを癒し、バランスを整えるために重要です。
眠る時間だけではなく、睡眠の質も大切です。
眠りの質を妨げる病気に「睡眠時無呼吸症候群」があります。

今回は無呼吸に対する治療を行うことで寿命が変わる研究結果が報告されたので解説します。

1. 睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸とは、睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態のことを指します。通常は10秒以上、場合によっては1分以上にわたって呼吸が止まることがあります。これが何度も繰り返されるため、深い睡眠を得ることができず、日中に強い眠気や集中力の低下、疲労感が生じることがあります。
睡眠時無呼吸は、主に次の2つのタイプに分類されます。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA): 上気道が狭くなることで、物理的に呼吸が遮断されるタイプで、肥満やアデノイド肥大などが原因となることが多いです。
ただし、日本人を含めたアジア人は喉周りの骨格が狭いため、肥満がなくても生じる場合があります。

中枢性睡眠時無呼吸(CSA): 脳の呼吸中枢が正しく機能せず、呼吸が止まる状態。心臓や神経系の疾患が関連することが多いです。
これが多い場合は脳や心臓などをチェックするほうがよいでしょう。

2. 日本における睡眠時無呼吸症候群の罹患率は

睡眠時無呼吸症候群は、日本でも一般的な健康問題として認識されています。

特に閉塞性睡眠時無呼吸は、中年層を中心に罹患率が高くなります。

最近の研究によると、中等度以上の無呼吸を認める方は日本に900万人、軽症も含めると2,200万人存在すると予測されています(佐藤 誠, The Lung perspectives 2020;28:17-21)。

日本人は欧米人に比べてやや小柄で顔面骨格が狭いため、肥満がなくても無呼吸が生じやすいという報告もあります。
さらに、女性でも閉経後はリスクが増加し、年齢とともにSASの罹患率は高まります。また、気づかずに無呼吸状態が続いている場合も多く、診断されていない潜在的な患者数はさらに多いと考えられます。

3. 睡眠時無呼吸症候群で起こる合併症とは

睡眠時無呼吸症候群は、ただのいびきや一時的な無呼吸状態に留まらず、重大な健康リスクを引き起こす可能性があります。以下のような合併症が報告されています。

  1.  高血圧: 無呼吸状態が続くと、体が酸素不足に陥り、血圧が上昇します。慢性的な無呼吸は、高血圧を悪化させる原因となります。
  2. 心臓病: 無呼吸が頻発することで心拍数が不規則になり、心筋梗塞や不整脈のリスクが高まります。また、睡眠時無呼吸症候群は心不全や心臓肥大を引き起こす要因にもなり得ます。
  3. 糖尿病: SASの患者は、2型糖尿病を発症するリスクが高いとされています。睡眠不足や無呼吸により、インスリンの効果が減少し、血糖値のコントロールが困難になります。
  4. 脳卒中: 睡眠中の酸素供給不足は、脳血管に影響を及ぼし、脳卒中のリスクが高まります。無呼吸の回数が多いほど、発症の可能性が上がります。
  5. 認知症やうつ病: 慢性的な酸素不足と睡眠不足は、脳の機能にも影響し、認知機能の低下や、うつ病注意欠陥障害のリスクが増大します。

4. 睡眠時無呼吸症候群の治療とは

睡眠時無呼吸症候群の治療には、生活習慣の改善と医療機器や手術を用いる方法があります。代表的な治療法は以下の通りです。

  1. CPAP(持続陽圧呼吸療法): 最も一般的な治療法です。CPAP機器を用いて、睡眠中に鼻や口にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を開放し、無呼吸を防ぎます。この治療は重度の閉塞性睡眠時無呼吸に非常に効果的です。
  2. マウスピース(口腔内装置): 軽度から中程度の患者に用いられることが多いです。下顎を前方に出すマウスピースを装着し、気道の閉塞を防ぎます。
  3. 減量: 肥満が原因の場合、体重を減らすことで症状が大幅に改善することがあります。特に腹部脂肪の減少が気道の開放を助けるとされています。
  4. 手術: 特定の構造的な問題が原因である場合、手術によりアデノイドや扁桃腺を除去したり、気道を拡げる手術(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)が行われます。重度の症例や、CPAPやマウスピースが効果を示さない場合に検討されます。原因がアデノイドや扁桃肥大の場合、除去することで有効な場合がありますが、気道を広げる手術に関しては50%の症例に無効であることが報告されている他、数年後に瘢痕化して無呼吸が再発することが報告されています。
  5. 生活習慣の改善: 飲酒や喫煙は無呼吸の症状を悪化させることがあるため、これらの習慣を見直すことが重要です。また、横向きに寝ることも症状緩和に効果的です。

5. 治療をすることでどう変わる?

前置きが長くなりましたが、2024年9月にアメリカ内科学会の姉妹誌に掲載された研究結果を紹介します(JAMA Netw Open 2024;7:e2432468)。無呼吸を認める888,835例を後ろ向きに解析し、CPAP治療を受けた人とそうでない人を比べ、その後の予後にどのような影響を与えたかが検討されています。

平均年齢は73歳と比較的高齢であり、44%が女性でした。

結果、CPAP治療を受けている人のほうが、

死亡率が47%低下
心臓血管疾患や脳卒中などの発症率が10%低下

無呼吸を回避することで、将来発生する重篤な疾患を予防することができる結果です。

睡眠のトラブルを抱えているかたや、血圧や糖尿病で悩まれている方も、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
睡眠時無呼吸については別にもブログを上げています。そちらも参考にしてください。

まにわクリニックでは睡眠時無呼吸症候群の診断や治療を行っております。通院が大変な方やお時間が無い方の場合、オンライン診療もおこなっております(*1)。
ぜひこの病気のこと、症状を知っていただきより良い未来を作っていただければと思います。

(*1)3ヶ月に1回はクリニックに受診する必要があります。また、オンライン診療を希望される場合は事前に説明・同意をしていただく必要があります。

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