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2025.01.21
院長ブログ
最近よくみる、咳が止まらない咳ぜんそくとは?
みなさま、こんにちは
まにわクリニック院長の馬庭です
寒い季節や季節の変わり目は
体調を崩しやすく、風邪をひかれる方も多いのではないでしょうか
風邪はよくなったのだけど、その後一向に咳がよくならない患者様を
よく診察します
今回は咳が一向によくならない原因の1つである「咳ぜんそく」について解説します
1. 咳ぜんそくとは
咳ぜんそく(Cough Variant Asthma, CVA)は、喘鳴(息がゼーゼー、ヒューヒューとなる症状)や呼吸困難を伴わず、慢性的な咳を主症状とする特殊なタイプの喘息です。
喘鳴を起こす原因には咳ぜんそく以外にもあるため、喘鳴が生じればすぐに喘息と判断できる訳ではありませんが、最近咳ぜんそくを発症する患者様をよく診察します
2. 咳ぜんそくはなぜ起こる!?
咳ぜんそくの発症機序は、空気の通り道である気道の慢性炎症と過敏性の亢進が主な要因とされています。
以下がそのメカニズムの詳細です:
気道の慢性炎症:
気道における好酸球やマスト細胞の活性化が確認されています。これにより、気道粘膜が炎症を起こし、咳反射が敏感になります。
気道過敏性:
気道が特定の刺激(寒冷空気、アレルゲン、化学物質など)に対して過剰に反応することで、咳嗽が誘発されます。
迷走神経反射:
気道内の受容体が刺激されると、迷走神経を介して咳反射が引き起こされることが分かっています。
迷走神経は夜間に活性が高まりやすいです。ですから咳ぜんそくの方は、日中よりも夜間に咳が出やすくなります
これらのメカニズムは、喘鳴を伴う典型的な喘息と似ていますが、咳ぜんそくでは特に咳が主症状となります。
咳ぜんそくは成人および小児の慢性咳嗽患者の10–40%を占めると報告されています(Otsuka et al., 2019)。
年齢分布としては全年齢層で発症しますが、若年層および中年層に多い傾向があります。
性差は女性にやや多いとされています。
季節性として春や秋など、気温の変化が激しい季節に増加する傾向があります。
3. 咳ぜんそくの原因は!?
咳ぜんそくの原因は、多因子性であり以下の要因が挙げられます:
アレルゲン:
花粉、ダニ、カビ、ペットの毛など
環境因子:
寒冷空気、大気汚染、喫煙
感染症:
上気道感染(いわゆる風邪)後に発症するケースが多いです
これは感染により一時的に迷走神経の反応が高まるためと考えられています
ストレス:
精神的ストレスが症状を悪化させる可能性があります。一部のストレスは迷走神経の反応を高め過ぎてしまいます。
よく朝礼中に倒れてしまう人いますよね。あれも似たような反応です。
4. 咳ぜんそくの治療法
咳ぜんそくの治療は、典型的な喘息と同様に、気道炎症の抑制と症状の管理となります
薬物療法としては
● 吸入ステロイド薬(ICS)
気道炎症を抑制する第一選択薬です
長期間の使用が推奨され、2–4週間で症状の改善が期待されます
● 短時間作用型β2刺激薬(SABA)
急性症状の緩和に用いられます。少数ではありますが、副作用として動悸を感じる方がいます
● ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
アレルギー性炎症を抑える補助薬として使用されます
環境因子の管理も重要です
以下のようなものが挙げられます
アレルゲン回避:
室内の掃除や空気清浄機の使用
喫煙の禁止
適切な湿度の維持(40–60%)
生活習慣の改善
規則正しい生活
ストレス管理
専門医の診察
症状が改善しない場合は、呼吸器専門医やアレルギー専門医への受診が推奨されます。
5. 咳ぜんそくの予後と注意点
適切な治療を行えば、咳喘息の予後は良好です。しかし、治療を怠ると症状を頻回に繰り返したり、典型的な喘息へ移行する可能性があります。
したがって、早期診断と治療が重要です。
症状がよくなって治療を自己中断される方もいますが、適切に治療を行わないと、長引いたり再発を繰り返す可能性があります。
再発防止のためには、患者の自己管理能力を高める教育が必要です。
また、「咳ぜんそくと思っていたら、実は心臓の病気だった」 という症例もあります
咳が続く場合、専門の医療機関へ受診することをおすすめします
6. まにわクリニックからの提案
まにわクリニックでは、咳ぜんそくをはじめ、心臓の病気やその他の肺の病気が隠れていないかも含め、診断・治療にあたっています。
症状でお困りの方はお気軽にご相談ください
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
まにわクリニックでは、その方にあった薬物療法、栄養指導、生活指導を通じて治療のご提案などを行っております。気になるかたは一度ご相談ください。