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2025.03.05
院長ブログ
血圧は下げないほうが良いのか?
みなさん、こんにちは
まにわクリニックの馬庭です。
健康診断で血圧が高いと指摘される方も多いのではないでしょうか。
中には高血圧のために薬を服用されている方もいらっしゃると思います。
一方で、
「年齢とともに血圧は上昇するので下げる必要がない」
という話を耳にもします
今回は血圧を下げるべきかどうか、循環器専門医としてお答えします
1. 血圧が高いと・・・
食生活の乱れ、運動不足、慢性的なストレスなどの生活習慣の乱れや、ホルモン異常により血圧が上昇すると「高血圧」と呼ばれるようになります。
日本の高血圧有病者数は4,300万人と推定されています。そのうち治療によって良好な血圧がコントロールが得られているのはわずか30%と言われています。つまり、3,100万人の患者様は管理が十分にできていないということです。非常に多いですよね・・・
管理が不十分な患者様の3割の方が「自らの高血圧を認識していない」。29%の方が「認識しているが治療を受けていない」と推定されています。
(高血圧治療ガイドライン2019より)
心臓疾患は死亡原因の第2位、脳血管疾患は第4位であり、高血圧はその疾患原因の1つであることが知られています。
降圧薬の使用歴がない30歳以上の日本人男女8,952人の24年間に及ぶ追跡調査によると、血圧が高いほど循環器疾患、脳血管疾患、冠動脈疾患による死亡リスクが高くなることが報告されています。
2. 年齢別の血圧
こちらは厚生労働省から報告されている「令和元年 国民健康・栄養調査報告」に記載されている年齢別の血圧の平均値です。
ご覧の通り、年齢の上昇とともに血圧も上昇しています。
では、血圧の基準を見ていきましょう。
こちらは日本高血圧学会が発行している高血圧治療ガイドラインに記載されている内容です。
血圧が140/90mmHg以上になると脳卒中や心臓病のリスクが上昇することから高血圧の基準が設けられています。
血圧が140/90mmHgよりも下回っているからといっても安心はできません。
先にも示した通り、血圧が120/80mmHg以上となると病気や死亡のリスクが上昇します。
3. 血圧の目標値とは
では高血圧を有する方の血圧の目標値はどうなっているのでしょうか。
現在のガイドラインではリスクに応じて目標値が定められています。
● 75歳未満の成人、脳血管疾患を有する方、冠動脈疾患を有する方、糖尿病の方、腎機能が低下して尿蛋白を有する方、抗血栓薬を使用中の方
このような方は家庭での血圧が125/75mmHg未満になるよう管理することが推奨されています
● 75歳以上の成人、両側の首の血管に狭窄があったり脳の主要な血管に閉塞のある方、腎機能は低下しているが尿蛋白は有さない方
このような方は家庭での血圧が135/85mmHg未満になるよう管理することが推奨されています。
もちろんいきなり目標値までさげるのではなく、その方の状態や薬の副作用などを確認しながら徐々に目標値を目指していきます。
また、あくまでも目標値であるため、個々の置かれている状況によってはあまり血圧を下げずに管理する場合もありますし、逆にさらに血圧を下げて管理する場合もあります。
例えば、ご高齢であり、筋肉量もすくなく、ふらつきや転倒のリスクが高いような方に対しては、過度に血圧を下げないように管理を行っていきます。
一方、重度の心疾患を有している場合には目標値以上に血圧を低下させ、心臓の機能の維持を優先させる場合もあります。
4. まとめ
まとめると、高血圧の基準は年齢によらず140/90mmHgとなっています。
ただし、年齢や持っている病気に応じて血圧の目標値がかわっていきます。
まにわクリニックでは血液検査や尿検査、血管年齢検査や超音波検査などを用いて、患者様の個々のリスクを評価し、リスクに応じて血圧の管理を行っています。
また、なるべく薬に頼ることなく血圧がコントロールできるよう、食事指導や運動指導、栄養素の案内を行っております。
血圧のことが心配、実際に治療を受けているが今の状態で大丈夫か心配、などございましたら一度ご相談ください。