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2023.08.03

お知らせ

アルツハイマー型認知症の新薬について、医師の見解は!?

みなさま、こんにちは。

箕面船場にある、まにわクリニック院長の馬庭です。

この数年で、アルツハイマー型認知症に対する新しい薬が発表され、ニュースでも取り上げられているかと思います。
ただし、非常に高額であり費用対効果はどうなのか関心のあるところです。
今回はそんな新薬について内科専門医、抗加齢専門医である私の見解を述べたいと思います。

1. アルツハイマー型認知症とはどんな病気?

アルツハイマー型認知症とは、脳の神経が変性してしまう疾患の一つであり、最も一般的な認知症の形態です。

この病気は脳の神経細胞の損傷と死によって進行するため、「記憶」、「思考」、「判断力」、「行動」などの認知機能が徐々に低下していきます。

アルツハイマー型認知症は、本人のみならず家族や周囲の人々にも大きな影響を与える疾患であり、それが社会的な問題にもなっています。

2. どうやってアルツハイマー型認知症は起こるのか

結論から言うと、未だに定まった機序は特定されていません。

これまでの研究からは以下のような要因が関与していると考えられています。

● アミロイドベータ (Amyloid beta) の蓄積

脳内にアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が蓄積し、神経細胞に損傷を与えると考えられています。アルツハイマー型認知症の病理像では、アミロイド斑と呼ばれる異常なタンパク質の集合が認められており、アミロイドベータはアミロイド斑の原因物質ではないかと考えられています。

● タウタンパクの異常

タウタンパクが正常に機能せず、神経細胞内で凝集して神経線維変化(神経が変性してしまい、正常に機能しなくなる)を引き起こすと考えられています。

● 神経伝達物質の低下

脳内の神経伝達物質(アセチルコリンなど)の量が減少することが、アルツハイマー型認知症の発症に関連しているとされています。

● 遺伝的要因

遺伝的な要因も一部関与しており、特に早発性アルツハイマー型認知症では遺伝子の変異が原因となることがあります。

私の考えでは、おそらく1つの定まった原因があるのではなく、様々な要因が複雑に絡み合い発症するのではないかと思います。
酸化ストレス、糖化ストレス、重金属か環境毒素の影響などによりアミロイドベータタンパクやタウタンパクが神経細胞周囲に蓄積してしまうのではないかと思っています。

後の述べる新薬は、このアミロイドベータを減らすことで病勢を抑制することを目的としていますが、

3. 新薬とはどのような薬?

新薬にはアデュカヌマブ、レカネマブがあります。いずれもアミロイドベータに対する特異的モノクローナル抗体であり、アミロイドベータに結合して分解を促進させ、アミロイドベータの蓄積を抑制する効果が認められています。

4. 論文で報告されている結果とその考え方

新薬の効果を検証した研究結果では、プラセボ(偽薬といって効能を有さないもの)と新薬をランダムに患者様に投与し、18ヶ月後の認知症のスコアの比較をしています。

結果として、18ヶ月後の認知症スコアが新薬が1.21ポイントの低下、プラセボが1.66ポイントの低下となり、新薬が0.45ポイントスコアの低下を抑制、27%症状の進行を抑制したと報告しています(N Engl J Med. 2023;388(1):9-21.)。

パッと見て、27%も進行が抑制されると効くと、すごい薬なんじゃないかと思いますよね。

しかしですよ!

アルツハイマー型認知症の薬として初期に認可されたドネペジル(商品名はアリセプト)という薬があります。この薬はアセチルコリンを分解する酵素コリンエステラーゼを阻害することでアルツハイマー型認知症の症状を緩和することが期待されて開発されたものです。これは1996年にFDAに認可された薬ですが、近年の報告で、この薬も認知症のスコアを24週間で0.5~0.67ポイント低下を抑制するとしています(Cochrane Database Syst Rev. 2018;6(6):CD001190.)。
もちろん単純比較はできませんが、高額な医療をかけるだけの費用対効果に疑問が持たれます。

また、臨床的に意味のあるスコアの変化は年間1.0~2.5ポイントとされています(Alzheimers Dement (N Y). 2019;5:354-363.)。これは本人や周囲の家族の方が効果を実感できる変化と思っていただければいいのですが、新薬も既存の薬も変化は0.5ポイント前後です。
統計学的には有意な変化であったとしても、日常では効果は実感できない程度の変化であると言わざるを得ません。

果たして、このような小さな変化のために、天文学的な金額をかけるべきなのでしょうか。

また、新薬は副作用にも注意する必要があります。アミロイドベータをターゲットとする新薬には、脳の萎縮を早めてしまう可能性が指摘されています。報告では、18ヶ月後に28%も脳の萎縮を早めたとしています(Neurology. 2023;100(20):e2114-e2124.)。
脳のむくみや脳内出血などの報告もあり、決して安全安心して使用できる訳ではありません。

5. 大事なこととは

おそらくアルツハイマー型認知症は、1つの原因物質があって発症する訳ではないと思います。
アミロイドベータはたしかに蓄積していますが、それが原因なのかそれとも結果的に蓄積しているだけなのかを考える必要があります。

私としては後者ではないかと考えています。
つまり、いくらアミロイドベータを抑制しても、それが蓄積する根本原因と解決しないと良くはならないと考えています。

原因はたくさんあると考えられますが、以下の要因を解決していくことが重要ではないかと考えています。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
認知症の予防は30代から始まっています。

箕面船場にあるまにわクリニックではさまざまな検査を用いながら、栄養指導を含め対応しています。
認知症のことが心配、などあれば一度ご相談ください。

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